この間、久しぶりにセールに行ったんだけど、とってもお得にお買い物できたの♡定価3万円のジャケットを1万円で買えたんだ~♪
それはよかったね!でも水を差すようで悪いけど、それって本当にお得なのかな?
えっ!?3万円の商品を1万円で買えたんだよ!お得に決まってるじゃん!!
売り手が元々1万円で売るつもりの商品を定価3万円に設定していただけかもよ?
そんなことある?!
すべてのお店がそうとは言わないけど、少なからずマーケティングの世界には、そういう3万円から1万円に値引きするといった相対性を利用したテクニックがあるんだ。
今回は、この相対性によってお得に感じてしまう罠について説明していくね!
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誰もが陥る相対性の罠
みなさんの中にもお買い物をしているとき、大幅に割引された値札を見てときめいた経験がある方も少なくないでしょう。
行動経済学者のダン・アリエリーによると「相対性は、実際の価値とはほとんど無関係な方法で、価値を評価することを人間に強いるもっとも強力な要因の一つ」と言われています。
セールでいう相対性とはなんでしょうか?
それは、お店側が提示している「元の価格」と「今の価格」です。
人は買い物をするときに、自分の中でその商品を購入した理由を説明づけます。
つまり、セール品は「元の価格」と「今の価格」を容易に比較できるため、購入理由を簡単に説明でき、その結果、購入に至りやすいのです。(たとえそれが、相場から外れた値段でも)
人間は相対性によるお得が大好き
アメリカにJCペニーという大手百貨店があります。
JCペニーでは、従来より、割高に設定した定価を値引きして適正価格にして商品を販売するという相対性を駆使したマーケティング戦略を実施しておりました。JCペニーのお客さんはその割引を期待してJCペニーでの買い物を楽しんでいました。
ところが2012年にJCペニーのCEOに就任したロン・ジョンソンによって、この不当?な慣行を廃止しました。それまでお客さんにクーポンやセール、店舗限定の値引き等をつねに提供していましたが、ロン・ジョンソンの指示によりそれらの取り組みは撤廃されました。ロン・ジョンソンは「お買い得感」を醸し出していた従来の方法ではなく、最初から公明正大な価格を提示して商品を店頭に並べたのです。
その結果どうなったでしょう?
JCペニーのファンは、公明正大な価格を嫌い、裏切られたとまで言い放ち、店を離れていってしまったのです。それから1年と経たないうちにJCペニーは9億8500万ドルの純損失を計上し、ロン・ジョンソンはCEOを解任されました。
その後、JCペニーのほとんどの商品の定価は60%以上値上げされ、以前のつねに割引をする日常が戻ってきました。この「お買い得感醸し出し戦略」によって、JCペニーファンたちは、再び素晴らしいお値打ち品を提供するようになったと歓喜し、JCペニーに帰ってきました。
どうでしょうか?これは冗談のような本当の話です。
この話を読んで、こんな風にお店側の戦略に操られる人もいるんだと思った方も、意外と他人事ではないかもしれません。
たとえば、目の前に「定価5,000円のシャツ」と「定価10,000円から50%OFFで5,000円となったシャツ」が売られているとしたらあなたはどちらのシャツを購入するでしょうか?
おそらく多くの方が50%OFFで5,000円となったシャツを購入するでしょう。
これがこの商品を選んだ理由を創り出す相対性の凄さです。
こんなにもある!世の中に溢れた相対性事例
相対性の凄さは、お金だけに限ったことではありません。
下の図をご覧ください。みなさんはこの図を見て、左右の青色の円のサイズが同じであると認識できますか?いやいや、明らかに右の青色の方が小さいでしょうと思われる方は試しに条規などで測ってみてください この二つの青色の円が同じサイズであることが確認できるはずです。
なぜこのような錯覚が起きるかというと二つの青色の円を直接比較せずに、すぐ近くのオレンジ色の円と比較する(してしまう)からです。青色の円の周りにオレンジ色の円があることで、二つの青色の円の比較は、絶対的な大きさではなく相対的な大きさの比較となり、右の青色の円の方がより小さく感じてしまうのです。これが視覚の相対性です。
相対性を利用したマーケティングは、みなさんが意識していないだけで非常に多く存在します。
いくつか例を挙げてみますので、みなさんだったらどう行動するか考えてみてください。
<自動車ディーラーでの追加オプション>
あなたは300万円の新車を購入した際に、通常10万円するカーナビを5万円で付けておきますと言われました。お断りしますか?
<豪華リゾートでの高すぎるドリンク>
あなたが豪華リゾートのプールサイドでくつろいでいるとき、スーパーで買えば100円で飲めるジンジャーエールを、800円で提供してもらえることを知りました。ここは1泊10万円の豪華リゾートです。気分も高揚しているし、喉も乾いている。さぁどうしますか?
<新築購入時の追加の高級エクステリア>
あなたは夢のマイホームを5000万円で購入しました。せっかくなら高級感のあるカーポートを100万円で付けましょうと信頼しきっている営業マンから持ち掛けられました。家の価格の2%で高級カーポートが付いてきます。さぁどうしましょう?
いかがでしょうか?この相対性の罠(感応度逓減性とも言います)は、特に高額な買い物をするときによく利用されます。購入者はその金額の妥当性よりも、メインの商品(家や車など)と追加の商品の価格を比較して、ついつい安いと感じてしまうのです。
自己肯定感にも影響を与える相対性
行動経済学のダン・アリエリーによると、相対性が影響を及ぼすのは、お金に関することだけでなく自己評価(自己肯定感)にも影響を与えます。
一流大学を出て、大手企業に勤めているエリート社員であったとしても、自分より成功している超優秀なビジネスマンと比較することで劣等感にとらわれてしまうことがあります。これも相対性による影響です。
幸せは、実際の幸福度よりも、自分を他人と比べることによって決まることがよくあるかと思います。 しかし、この考え方は心の健康を損なう上に、有益なことは何一つありません。
自分は自分と考え、なりたい自分に向けて地道に積み重ねていくしかないのです。
相対性の罠に陥らないためにはどうしたらいいか
ここまでのお話で、相対性の凄さについておわかりいただけたかと思います。
ここでは、購買行動において無意識にかかってしまう相対性の罠に簡単にはかからないようなコツについて紹介します。
【ポイント①】
・セール品をみても前はいくらだったかを考えない
・実際に支払うことになる金額のみを考える
・50%OFFで5,000円のシャツを見つけたらこれは5,000円の節約ではなく、単なる5,000円の出費と考えるようにする
【ポイント②】
・高額で複雑な商品を購入する際は、出費を分類する
・車や家にオプションを追加するときは、それぞれの追加品を個別に判断する
・100万円の高級カーポートが安く感じたら、自分の給料の何カ月分か考えてみる
いかがでしたか?相対性の罠を理解できたあなたは、これから営業マンに騙されることなく上手にお買いものができることでしょう。
もし、それでも高価な買い物をするのが不安なときには、超合理主義で冷静な理系男子を連れていき、客観的な判断をしてもらうといいでしょう。
相対評価と絶対評価の区別が得意な彼らなら、きっと的確なアドバイスをしてくれるはずです。
なるほど・・・相対性の罠、おそるべし!
でも、そんなことばかり考えてたらお買い物楽しくないよ~
たしかにその通りだね。人は必ずしも合理的に行動するわけではないし、むしろ感情的に動く生き物だからね。買いたいものは買っちゃえばいいと思うよ♪
でも、世の中には相対性や感応度逓減性といった行動経済学を熟知した人たちが、巧みにそれらを利用して消費者からお金を搾取しているってことも知っておくことは大事だよ!
そうだね!
私もセールやバーゲンに釣られていらないものを買っちゃわないように気を付けまーす♪
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